果たして運動経験のある方ほど、産後ケアの進捗のスピードは早まるものなのか?
こんにちは、院長の三橋です。
当院のマタニティ整体コース、産後のボディケアコースそれぞれに通われているクライアントさんたちの回復への進捗スピードには、かなりの個人差が出ることがあります。
それはご本人の年齢、お子様の月齢やサイズ(体重)や性格、さらにはクライアント様ご本人の持って生まれた体力など、様々な条件が関係してくる話であることは言うまでもありません。
そして、もうひとつ。
学生時代も含めた運動経験の有無も、時として進捗のスピードを左右する大きな要素となることがあります。
簡単に言ってしまうと、少なくとも筋肉量がある方が回復にあたって有利であることは間違いないからです。
しかし、逆に運動経験がマイナス要素となって進捗を妨げてしまっているケースもあるもので、スポーツで古傷を抱えてしまっているようなケースです。
なお、こういったケースは当院ですと膝の痛みが最もポピュラーとなりましょうか。
出産後に膝の痛みを抱えてしまうケースが多い
妊娠出産後に人生で初めて抱えるようになってしまう不調のひとつに、まず膝の痛みが挙げられるかと思います。
肩こり腰痛は妊娠出産に関係なく、多くの方が一度は経験するものであるのに対して、スポーツでケガや故障でもしない限り膝の痛みは若年のうちはそうそう経験するものではありません。
そういうこともあってか妊娠中や出産後に人生で初めて膝の痛みを抱えてしまうようになると、多くの方が動揺するのです。
どうしても膝痛=高齢者のイメージがあるからなのでしょう。
でも実際には産後に抱えてしまうような膝の痛みについては高齢者の膝痛とは原因からして決定的に違うことが多く、だから多くの場合、通院されて綺麗に回復してしまうことがほとんど。
一般的に若年者(妊娠出産後の女性)の膝の痛みであれば膝の関節軟骨の損傷などではなく、筋肉のコンディションの問題であることが多いからです。要は筋肉の使い方を忘れてしまてるだけのケースであることが多いのです。
要は筋肉の使い方を忘れてしまっているだけ【産後女性が抱える膝の痛みを考察してみる】
妊娠出産で抱えてしまった膝の痛みが長引いてしまうケースは
しかし、なかには妊娠出産後の女性であっても膝の痛みがなかなか回復しないケースもあり、こういった場合はやはり半月板や靭帯といった膝の関節軟骨の損傷が潜んでいることが考えられます。
学生時代の部活動であったり、社会人になってから始めたスキーやスノーボードといったウインタースポーツであったり、それこそ遠い昔にやってしまったようなケガや故障が〝古傷〟となって悪さをしていることが考えられるのです。
というのも、組織の破壊を伴うようなダメージがいちど関節軟骨に入ってしまうと、その部分は残念ながら再び100%の状態にまで完全に回復することはまずないから。
脱臼や捻挫がクセになってしまうのはそのせいで、物理的に不安定になってしまった古傷である部分は特に負担が掛かりやすいことから筋肉などで上手く補強してあげるしかなくなるのです。だから、往々にしてこういった関節箇所は周囲の筋肉が硬くなるだけでなく、関節の可動域も減少してしまいます。
しかし、妊娠出産でボディバランスが大きく変わることでそういった筋肉の頑張りが利かなくなり、再び古傷が疼き始めてしまうことがあるのです。
つまり、膝の関節軟骨の損傷といった部分で考えると、これは高齢者の膝の痛みと同類であると言えるかも知れません。
一度でも半月板や膝の靭帯の損傷を経験してしまったことのある方は、妊娠出産で生じた膝の痛みが長引くことになりやすいという訳です。
学生時代の運動経験は産後ケアにとって有利となり得るのか?
それでは学生時代の運動経験は、果たして産後ケアにとって有利となり得るのでしょうか?
これについては結論から言ってしまうと、有利に働くこともあれば、不利に働くこともあると考えます。
一概には言えないのです。
どんな運動をやっていたか?また、どのくらい本格的に取り組んでいたのか?
要は、スポーツ障害を負ってしまうほどのレベルで成長期に運動をされた経験のある方は、「体幹の強さ」や「筋肉量」といったメリットを上回る〝古傷〟、つまりデメリットを抱えてしまっている可能性があるということになります。
まだ未成熟な骨格にあって、限度を超えた強度の運動を繰り返してしまうと、膝だけでなく背骨にも問題を生じさせてしまうことがあるのです。
だから運動の種類はともかくとして、「強豪校レベル」というよりは「同好会レベル」である方がメリットの方が上回り、産後ケアの進捗が早まることが期待できるという訳です。
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