【院長コラム】危険な腰痛のサイン、「レッドフラッグサイン」とは
一般的にいわゆる「腰痛」の80%は、3か月もしないうちに自然治癒してしまうとされています。
実際、多くの方が一度や二度、そういった経験があるのではないでしょうか?
しかし、なかにはいっこうに治る気配を見せないケースがあるのも事実です。
そういった「治らない腰痛」が、実は体に起きた重大な異変を知らせる「危険なサイン」であったというケースも。
腰痛が知らせる「危険なサイン」とはいったい…。
Contents
危険な腰痛であるかを判断するためのリスト「レッドフラッグサイン」
医師がまず腰痛を訴える患者さんを診るにあたって、まず調べることが「重篤な脊椎疾患」が潜んでいないかということ。
腰痛の原因には、まれにガンの骨転移や内臓疾患、感染症、自己免疫疾患、骨折といったものが紛れているケースがあるのです。
その場合、放っておいても回復が見込めないどころか、酷いと命に関わってくるケースもでてくるのです。
そういった「危険な腰痛」であるかどうかを鑑別するための基準となるリストが「レッドフラッグサイン」。
通常、腰痛におけるほとんどのケースは、どんなに痛くとも、いずれ自然治癒が見込めるケースです。
しかし、腰痛全体における、ほんの1〜5%に該当するケースは、この「レッドフラッグサイン」に引っかかってしまうことがあるのです。
『腰痛診療ガイドライン2012』より簡単に紹介させていただくと、「レッドフラッグサイン」とは以下のとおりです。
○20歳以下、または55歳以上であること
○時間や活動によって症状に変化がない
○胸の痛みがある
○癌、HIV、ステロイド治療の既往歴
○原因不明の体重減少
○広範囲におよぶ神経症状、歩行や排尿などの影響など
○発熱
○背骨の変形
このリストに示した項目に該当しないかどうかを医師は、問診によって慎重に判断していくのです。
しかし、現実的には多くのケースの腰痛において、このリストのうち該当してしまう項目を一つは持っているものだそうです。
もちろん、どれかひとつでも当てはまれば、ただちに危険な病気の可能性を疑う訳ではないそうです。
複数の該当があった場合に、医師が症状だけでなく既往歴や薬の使用歴、外傷の履歴など総合的に評価して判断するのです。
では、「レッドフラッグサイン」に複数該当してしまった場合、どういった可能性を探っていくものなのでしょうか?
腰痛の症状から推測される病気
では、「レッドフラッグサイン」で陽性判定が出た場合、具体的にはどのような病気が潜んでいるものなのでしょうか?
悪性腫瘍(ガン)を疑うケース
悪性腫瘍(ガン)が腰のあたり、もしくは近辺に骨転移したものによる痛みを疑うケース。
とくに以下が該当するケースが要注意となります。
○年齢が50歳以上であること
○癌の既往歴がある
○最近体重が減った
○発症してから4〜6週間経つけど自然治癒しない
○どんな体位をとっても痛みがある
感染症(化膿性脊椎炎)を疑うケース
背骨が細菌などに感染した結果、炎症などを起こしていることを疑うケース。
多くは胸椎や腰椎に好発します。
以下に該当するケースが要注意となります。
○38℃以上の発熱が48時間以上つづく
○薬物依存など、静脈注射の乱用歴
○腰や背中の激しい痛み
○胸の痛み
○腰の手術を受けたことがある
○糖尿病、HIV感染症、結核、ステロイド剤や免疫抑制剤の使用履歴
○腎盂腎炎、蜂巣炎(ほうそうえん)、肺炎、尿路感染症などの細菌感染
○安静にしても痛みが軽減しない
強直性脊椎炎を疑うケース
背骨が強直してしまう原因不明の病気。
こちらは発症は、きわめて稀な疾患です。
以下に当てはまるケースは要注意。
○運動すると症状が軽減する
○朝方とくに腰がこわばる
○40歳以下 ほとんどの場合、10〜35歳で発症し、男性に多いのが特徴
○徐々に傷みを自覚するようになった
○3か月以上、痛みが継続している
脊椎骨折を疑うケース
思いがけないことで知らずに骨折してしまっていたケース。
骨量が乏しい高齢者は、尻もちをついたくらいで骨折してしまっていることもあるので注意。
ステロイドの副作用で骨がもろくなってしまっていたケースも。
以下に該当するケースは要注意。
○自動車事故や高所からの転落、または大きな外傷歴が最近あったか
○50歳以上であり、軽度の外傷
○骨粗鬆症である
○70歳以上の高齢
○ステロイド(副腎皮質ホルモン)剤の長期にわたる使用
馬尾症候群を疑うケース
深刻な神経症状をともなうケースであり、放置してしまうと重大な後遺症を残してしまう恐れがある。
運動障害、排尿障害、排便障害、それと感覚の低下などといった症状が生じ、発症から48時間以内の緊急手術が必要とされる。
以下のケースで、とくに急性腰痛で複数に該当する場合は要注意。
○性機能低下
○排尿障害または排便障害
○サドル麻痺 (会陰部や肛門の感覚低下)
○坐骨神経痛による運動神経の障害
最後に
現在、腰痛治療においては、なるべく外科手術という選択肢を選ばないことが主流となっています。
自然治癒を目指して、いわゆる経過観察をしていくことを「保存療法」といいます。
ただ、ごくごく稀なケースにおいては、緊急手術が必要となってくることがあるのです。
その判断は、「レッドフラッグサイン」に複数箇所該当するかどうかが基準となります。
あまりに長引く腰痛であったり、少しでも不安がある場合などは、いちど専門医のもとチェックされてみると良いでしょう。
逆にいうと、「レッドフラッグサイン」に該当しなければ、ほとんどの場合、保存療法にて回復が期待できるということになるのです。
みなさまが腰痛について、より正しい理解をなされる一助になれれば幸いです。
記事担当 三橋
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